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花と器

風炉

初夏から秋にかけての「風炉」の季節には、様々な花が目を楽しませてくれます。

花:額紫陽花
器:三田青磁

格の高い青磁の花器と異なり、紫陽花一枝を挿したりと、気楽に使える。
みずみずしく、涼やかな印象を与えてくれる。

花:野葡萄、朮、秋の麒麟草
器:土師器掛花入

決まりきった茶の花器でなく、素朴でほのぼのとした土の温もりまでもが伝わってくる、このような古代の土器を床の向掛に使用し、近くの野で採った秋草などを生けてみてはいかがでしょうか。
花:秋丁字、野紺菊、秋の田村草
器:古銅閼伽桶

元来、仏具として使用されて来た閼伽桶ですが、仏教美術を扱う古美術展では時たまお目にかかります。
花器として置いてでも、釣ってでも使用できます。
仏器も意外とやさしい花がよく似合います。

 

炉
晩秋から春にかけての「炉」の季節には、派手さはなくとも清楚可憐な野の花がものさびた風情を誘い出します。

花:山繭、寒菊
器:古南蛮粽写掛花入

何と夢のような、虹のような色合いの山繭と庭の片隅に遠慮がちに咲き残っていた、愛らしい寒菊。
自然の織りなす色の美しさが古銅の花器に一層美しく映えます。

花:白侘助椿、実葛、杜鵑草
器:須恵器長顎壷

器だけ見ると、何の見所もない土臭い土器ですが、花を生けると見違える程です。

花:一子侘助椿、大葉梅擬
器:須恵器掛花入・猿投古窯(平安時代)

紅く可愛い侘助椿に、赤い実の付いた照葉も美しい梅擬。
欠けた口を補うかの如く花を入れ、その鮮やかな色は、まるで名残りの秋をさながら燃焼させているかの様です。
構成:田中昭光(古美術「友明堂」店主)撮影:藤井金治